中小企業経営者をサポートする
日本橋人形町の税理士事務所

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【インボイス制度】宿泊予約サイトの領収書の受取には注意!

みなさまこんにちは!税理士法人ウィズです!
令和5年10月にインボイス制度が始まり、約9か月が経ちました。
段々と慣れてきていると思いますが、まだよくわからない点も多々あるのが実情です。今回はその一例として、「宿泊予約サイトのインボイス」をご紹介します。

宿泊予約サイトを利用する際の注意点

みなさまは出張など遠方に行かれる際、ホテルのネット予約は利用されますか?
このネット予約、ホテルのサイトから直接予約する分には特に問題はないのですが、予約サイトを利用するとちょっとややこしいことになります。

インボイスに対応するためには、原則として支払い時に支払先から発行された「登録番号等が記載されているインボイス対応の領収書」の保存が必要です。
宿泊予約サイトを利用してホテルの予約をした場合、保存した領収書を確認すると「インボイス登録番号」等が記載されていない場合があります。
これは、運営している事業者が国外事業者の予約サイトで、インボイスに対応していないケースが多く見受けられるためです。

対応策

インボイスの発行義務は、適格請求書(インボイス)の発行事業者として登録した支払先(旅館・ホテルなど)にあります。ですので、予約サイトの運営事業者に問い合わせ・インボイス対応の領収書発行を依頼しても対応されません。
場合によっては国内事業者が運営している予約サイトでも、インボイスの発行に対応していない場合があります。
このような場合、旅館やホテルが運営しているサイトで予約するか、宿泊先現地での決済されることを推奨します。

予約サイトから予約される際は、宿泊先がインボイスの発行事業者に登録しているか確認するのはもちろん、予約サイトもインボイスの発行に対応しているか、確認するようにしましょう。


最後までご覧いただきありがとうございました!
宿泊予約サイトは各施設の比較や割引の適用など便利な反面、インボイスの点で考えると注意が必要です。
過去のブログでもインボイス(消費税)の取り扱いについてご紹介しておりますので、ぜひご覧ください!

【3分で学べる消費税】見落としにご注意!消費税課税対象外の取引3選!

【3分で学べる】入湯税について

【インボイス制度】パーキングメーターの消費税

売上の計上基準とは?~注意が必要なネットショップの経理~

自社の商品・製品を販売した際、何日付で売上計上したらよいのか迷ったことはありませんか?

いつもニコニコ現金払いなら、

商品の引渡しやサービス提供と入金が一致するため、迷うことはないでしょう。

ですがネットショップなどは、必ずしもお客様と直接相対して商品を売るとは限りませんよね。

入金の後に商品を渡したり、宅配便で送ったりと様々な商品の受け渡しがあります。

特に、運送業者さんを介した場合は、

・自分が送った日 ・先方に届いた日 ・入金された日

などなど、売り上げを認識すると思われる日はいくつか存在します。

どのタイミングで売上計上するべきなのかを見ていきましょう。

(1) 売上の計上基準は?

まず、売上計上基準とはどういうものかを見ていきます。

売上の計上基準とは、簡単に言えば、”売上計上をいつ時点で行うのかのルール”です。

売上の計上時期なんていつだっていいじゃないか!と思う方もいるでしょう。

ですが、売上を計上する基準が決まっていないと、決まった会計期間の中で、

「この売上は入金があったから」や「この売上は商品を渡したから」など様々な理由で売上が計上されてしまい、

”正しい売上高”を導くことができなくなってしまいます。

経営者・株主・金融機関の方が業績の推移などをチェックする際、

各月の計上方法が違っていたらどうでしょう。情報の精度が落ちてしまいますよね。

ルールがなければ会計期間を恣意的にまたぎ利益調整もできてしまうため、

売上の計上基準は企業の利害関係者にとって、とても大切な役割を果たしているんです。

売上計上基準は『実現主義』に基づいています。

企業会計原則では

『すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。

ただし未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない。』

とされており、特に

『売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る』
とされています。

(2) いつの時点で『実現』したと考える?

前章では、

『売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る』
とされている旨をご紹介しました。

『実現』とは一体いつのことを指すのでしょうか?

『実現主義』というと、専門用語的で難しく感じる人もいるかもしれませんが、意外とシンプルです。

実現の定義は大きく3種類あります。

3つを都合のいいように採用するのではなく、企業は下記の①②③のいずれか1つの基準で売上を計上しなくてはなりません。

① 発送基準・・・商品を発送した日で売上計上する

② 引渡基準・・・商品が相手の元に届いた日で売上計上する

③ 検収基準・・・相手が商品の検収(中身の確認)を完了した日で売上計上する

企業会計原則では

『その処理の原則及び手続きを毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない』

としており、企業が1度決めた売上計上基準をいつでも好きに変更することはできません。

毎期継続して同じ基準で売上を計上しているならば、いずれの処理も『実現主義』に沿った処理と考えられます。

(3) 入金日はダメ?

売上の計上基準は「①発送基準」「②引渡基準」「③検収基準」とお話ししました。

『あれ?お客さんから集金した日じゃダメなの?』

と思われた方もいるのではないでしょうか?

確かに商品を送った、受取っただけでは商売になりません。商品の対価を回収して初めて商売として成り立ちます。

でも特別な販売形態の場合を除き、商品の受け渡しの時点で売上は実現したと考えられるため入金日での計上は認められません。

💡入金時に売上とするのはNGです!

(4) まとめ

(1)売上の計上基準は『実現主義』

(2)「①発送基準」「②引渡基準」「③検収基準」の 3 つの基準で考える

(3)入金日での売上の計上は認められない。

売上計上基準について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

一口に『実現主義』と言っても、正解は1つではありません。

昨今では様々な販売形態があります。売上計上基準で迷ったときは、専門家に相談することをおすすめします。

計上する売上の金額に関する注意点をまとめたブログも掲載しておりますので、こちらも是非ご覧ください。

【3分で学べる経理処理】入金額で売上計上していませんか?売上計上の落とし穴!

※なお令和3年4月1日より『収益に関する会計基準』が導入され、従来の『企業会計原則』に優先して適用される基準として位置づけられていますが、

中小企業の会計処理については従来通りの企業会計原則等による会計処理が認められることとされていますので、本文は中小企業を前提として掲載しています。 

手形の決済期日が60日以内に!?

みなさまこんにちは!税理士法人ウィズです!
今回は、「手形」の決済期日が変更される件についてご紹介いたします!

それでは詳しい内容を見ていきましょう!

1.概要

政府は2024年11月から、2021年3月に見直された『手形通達』を踏まえ、

企業が発行する約束手形の決済期間を業種問わず60日以内(現行120日(繊維業90日))とする新指導基準を発表しました。
これは約束手形、一括決済方式、電子記録債権が下請代金の支払いとして用いられる場合における指導基準、指導方針を改正することによっておこなわれます。

2.運用開始時期

2024年11月1日以降に発行(振り出し)される手形から対象

3.対象となる手形

約束手形のほか電子記録債権、一括決済方式についても対象

4.サイトが60日をこえたら…

約束手形、電子記録債権、一括決済方式のサイトが60日を超える場合は、

下請法に定める親事業者の禁止行為に該当するとして、公正取引委員会から下請法に基づく指導を受ける可能性があります。

また建設業法令遵守ガイドラインについても同様の基準に改正される予定で、

サイトが60日を超える手形の支払いは、建設業法に違反することとなります。

5.紙の手形が廃止に…

サイト基準改正の後の2027年3月末までに手形交換に出され、

紙の手形・小切手を全廃することが予定されています。

サイトだけでなく、長年使いなれた紙の手形・小切手も廃止される予定です。
2024年11月はもうすぐそこ!!

サイト短縮による運転資金の確保、売掛債権の回収期間の短縮、振込や電子記録債権への切替・条件見直し等々、経理の方がやるべきことは山積みです・・・。
時代の流れとは言え、早めの対策を検討してください。


最後までご覧いただきありがとうございました!
税理士法人ウィズでは税制改正等の情報発信、経営に役立つセミナー等の開催を毎月行っています。下記セミナーページもぜひご覧ください!
https://www.z-with.or.jp/seminar

【3分で学べる消費税】見落としにご注意!消費税課税対象外の取引3選!

皆さんこんにちは!税理士法人ウィズです。

インボイス制度開始に伴い、消費税の仕訳に苦戦されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、経理処理の際に見落としがちな消費税課税対象外となる取引をご紹介していきます!

①ゴルフ場利用税 (ゴルフ利用税)

1つ目はゴルフ場利用税です。

取引先・得意先との親睦を深めるためにゴルフされる社長さんがいらっしゃると思います。

運動にもなりますし、一石二鳥ですよね。

ゴルフのプレー料金を支払う際、意識せず支払っていることが多いのが「ゴルフ場利用税」です。

ゴルフ利用税とも呼ばれ、ゴルフ場の規模・整備状況に応じて金額が設定されています。

利用税分は消費税対象外ですので仕訳の際、プレー代金と利用税で分ける必要があります。

また、プレー中の飲料代・軽食代が軽減税率8%適用というケースもございます。

ゴルフの領収証にはしっかり目を通しましょう!

②軽油税 (軽油引取税)

社用車・レンタカー・トラック等を使用して客先や現場に行かれる方が多いかと思います。

車を使用されている事業者さんにご注意いただきたいのが「軽油税」です。

経理の方で、軽自動車じゃないから軽油税なんて関係ないでしょ!と思っている方がいらっしゃるかもしれません。

軽油は軽自動車用の燃料ではないため、注意が必要です。

軽油税は消費税対象外となりますので、ガソリンスタンドのレシートは要チェックです!

③慶弔費

3つ目は慶弔費です。

結婚などの祝い事(慶事)における祝儀、または葬儀(弔事)における香典などが該当します。

なんとなく出金伝票を切って、10%で処理してしまいそうですが、

慶弔費は消費税対象外となりますのでご注意ください。

いかがでしたか。

該当していそうな取引があれば、会計データを見直してみてはいかがでしょうか。

過去のブログでも消費税対象外の取引についてご紹介しておりますので、ぜひご覧くださいね!

【3分で学べる】入湯税について

【インボイス制度】パーキングメーターの消費税

従業員の食事代は会社で負担できます!4パターンをご紹介!

「現場で頑張っている従業員のために食事代を会社で負担してあげたい!」

「昼食代の補填をしてあげたい!」

と、中小企業の社長から相談を受けることがあります。

従業員の処遇・モチベーションもあがり、会社にとってもメリットが見込めると思います。

 

しかし、ただ補填と言っても従業員のために払ったお金が給与として扱われれば

所得税の課税対象となってしまいます。

 

支給する方法によって、従業員の給与の所得税として課税されるか否かが変わります。

課税されると給与計算にも影響が出てくるため、注意が必要です。

 

今回は、従業員のために会社で食事代を負担する時、どのような方法があるのか、

所得税は課税されるのかを4つのパターンに分けて見ていきます。

 

① 食事手当として月額給与に加算する場合

まずは、食事手当を従業員の給与に加算してに支給する方法です。

「1日あたり500円」や、「月額5,000円」など決まった額を食事手当として

給与に加算して支給することとなります。

 

 

 

この場合、取り扱いは以下のようになります。

会社側:経費となります。(給料として処理します。)

従業員側:収入扱いとなるため、食事手当を含めて所得税の課税対象となります。

 

【なぜ収入扱いになるのでしょうか?】

理由は、食事手当として支給していても、食事をとらなければ現金をそのまま受け取って自由に使えるのと同じであるためです。

要するに通常の給与と同じく、従業員が自由に使い道を決めることができるからです。

 

さらに、社会保険料の標準報酬月額を算定する場合においても、

食事手当も含めて算定するため、社会保険料も増えることになります。

金銭でもらえることは従業員としては満足度も高くなることでしょう。

 

② 食事代のレシートをもらい実費精算する場合

次に従業員から食事代のレシートを提出してもらい、実費精算する場合です。

給与に加算する①のパターンとは違い、実費精算のため所得税の対象とならないと思われがちですが、

結論、実費であっても原則所得税は課税されます。

 

 

※例外として、残業や宿日直(夜勤等)の時の食事代については

所得税の課税の対象ではありません。

 

ただし、一定の要件を満たすことで昼食代の実費精算でも所得税が課税されないようにすることが可能です。

 

【要件】従業員が食事代の半額以上を負担し、

かつ会社が補填する額(実質支払額)が月額3,500円以内の場合には

所得税の課税されません。※この3,500円は消費税抜きの金額で判定します。

 

会社側:経費となります。(要件を満たさない場合は給与として取り扱われます。)

従業員側:要件を満たさなければ所得税の課税対象となります。

 

③ 遠方の現場の場合に、出張手当として支給する場合

お次は出張手当として支給する場合です。
現場が遠方である場合には、出張手当(日当)として現金支給しても所得税の課税はされません。

 

 

②で説明した「所得税が課税されない要件」のように「いくらまでならOK]といえる明確な数字はありません。

常識的なルールで常識的な金額であれば実務上問題ないと言えます。

「常識的」が曖昧なまま進めてしまうのはリスクがありますので、

会社側には「出張旅費規程」の策定をおススメいたします。

作成した「出張旅費規程」に合わせて支給額を決定するのです。

 

会社側:経費となります。(旅費交通費等)

従業員側:収入としては取り扱われず所得税は課税されません。※常識的な範囲で支給する場合に限る

 

④ 打合せを伴う食事の場合

最後は打ち合わせや会議をしているときの食事代を会社が負担した場合です。

現場での「打ち合わせや会議を伴う食事代」は従業員への支給とならないので、

所得税は課税されません。

打ち合わせや会議が「業務の進捗に必要で、そこに食事が介在した」時になります。

例えば、

現場が忙しい中で「昼食時しか打ち合わせができない」ケ-スがあれば、

会社の経費として計上ができます。

この場合には、通常の打ち合わせや会議と同様に

「誰と、何の打ち合わせ」という内容を、

レシートの裏などに明確に記載をする必要があります。

 

会社側:経費となります。(会議費・交際費等)

従業員側:収入としては取り扱われず所得税は課税されません。

 

 

まとめ

①食事手当として支給する → 所得税は課税される

②食事代を実費精算 → 所得税は課税される
(※半額以上を従業員が負担する時や月額3,500円以内の時は所得税は課税されない)

③出張手当を支給する → 所得税は課税されない(※「出張旅費規程」が必要)

④打ち合わせや会議の時の食事代 → 必要性・必然性があれば会社の経費になる。

4つのパターンについてご説明してきました。

 

所得税が課税されるとは言え、

①のパターンが従業員には意外と喜ばれるのではないでしょうか。

 

会社から見れば払う金額はそんなに変わらないはずですが、

従業員の中には「お給料が増えた」と考える人もいるかもしれません。

 

みなさまはどの方法をお選びになるでしょうか。

迷った際にはぜひ、税理士法人ウィズにご相談ください!

【3分で学べる経理処理】入金額で売上計上していませんか?売上計上の落とし穴!

皆さんこんにちは。税理士法人ウィズです。

今回は、中小企業の経理担当者に向けて、売上計上の間違えやすい点を解説していきたいと思います。

誤りやすいケース ~手数料等が差し引かれて入金される場合~

例えば、55,000円(税込)を相手方に請求したにもかかわらず、口座に入金があったのは54,340円だった、と言った事例が該当します。

原因は下記が考えられます。


・金融機関側にて、振込手数料などの支払いが差し引かれている

・得意先側にて、立替金債務と相殺され振り込まれている

安全協力会費(建設関係のみ)が差し引かれている

販売手数料が差し引かれている(ネットショップなどではよく見られます


経理処理の際に、

と思われた方もいらっしゃるかと思います。

具体的に問題になるのは、ズバリ、消費税の判定です。

消費税の課税売上高が変わると何が変わるのか、代表的なものは下記の2点です。


・消費税の納税義務が発生する(1千万円を超えたら)

→翌々課税期間から課税事業者となり、消費税の納税義務が発生します。

(例)2024年に超えた→2026年から消費税課税事業者

・消費税の簡易課税制度が適用できなくなる(5千万円を超えたら)

※「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していた方のみ

課税売上高が5千万円を超えた翌々課税期間から簡易課税制度が適用できなくなり、

自動的に本則課税が適用されます。

(例)2024年に超えた→2026年から本則課税が強制適用


いかがでしたか。

振込手数料が差し引かれているケースでは、さほど大きな問題にはならないかもしれませんが、

立替金・債務等が差し引かれていると影響が大きくなることがありますので、注意したいポイントです。

余談ですが、委託販売の場合では純額計上が認められています。 ※要件あり

こちらは今後のブログで取り扱っていく予定です。

交際費の判定基準が5,000円から1万円に!変更はいつから?【令和6年度税制改正】

みなさまこんにちは!税理士法人ウィズです!
今回は、令和6年度税制改正で発表された「交際費等の損金不算入制度の見直し」についてお話ししていきます。

令和6年3月までは、一人当たりの飲食費が5,000円以下であるかが交際費の判断基準の一つでした。
しかし、中小企業の経済活動を活性化させる目的等により、令和6年4月から一人当たり1万円以下まで引き上げられることとなりました!

それでは詳しい内容を見ていきましょう!

1.概要

令和6年税制改正の一つとして、「交際費等の損金不算入制度」の見直しが行われました。

①損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準を1人当たり1万円以下(現行:5,000円以下)に引き上げる。

交際費の範囲から除かれ会議費等で損金算入可能な接待飲食費は、一人当たりの金額が5,000円以下の場合でした。
今回の改正により、令和6年4月から一人当たり1万円以下まで範囲が広がります。
昨今の物価高もあり、メリットの大きい改正になっています。

※一人当たりの一万円以下かどうかの判定は、採用している経理方式によって異なります。
「税込経理」を行っている場合は「税込金額」、「税抜経理」を行っている場合には「税抜金額」でそれぞれ判定します。

②接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例(年800万円)の適用期限を3年延長する。

交際費の損金算入における特例が3年間延長となりました。
資本金の額により損金算入できる金額が異なり、次のようになります。
・資本金1億円以下の中小企業・・・800万円までもしくは接待飲食費の50%を損金算入
・資本金1億円~100億円以下の大企業・・・接待飲食費の50%を損金算入
・資本金100億円超の大企業・・・全額損金不算入

ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、交際費は基本的には経費として認められていません。
このように「年間800万円までは経費として良い」という特例があるので、経費にできるのです。
800万円を超えた分については「損金不算入」ですのでご注意下さい。

2.交際費の要件

交際費を損金として計上するためには、次の事項を記載した書類の保存が必要です。
今回の改正において変更はありませんが、改めて確認しておきましょう。

①飲食等のあった年月日
②飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
③飲食等に参加した者の数
④その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地
⑤その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項

国税庁:「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm

税務調査で要件を満たしていないことが明らかとなった場合、否認される恐れがあります。必ず要件を満たした上、証憑はしっかりと保管しておきましょう。

3.実務上の注意点

適用開始時期
会社の決算月等は考慮せず、令和6年4月1日以降に支出する飲食費に適用されます。
また、クレジットカードの利用等により3月利用分が4月に引き落とされる場合、改正前の「一人当たり5,000円」が判断基準となります。

インボイス制度の影響
インボイス発行事業者ではない飲食店を利用した場合、仕入税額控除の対象とならない消費税分を考慮しなければなりませんので、判断基準が煩雑になります。
特に、税抜経理を採用している場合は注意が必要です。


最後までご覧いただきありがとうございました!
まとめとして、交際費の判断基準は「一人当たり10,000円」と引上げになりますが、法人で損金算入(経費に)できるのは「総額800万円まで」のまま変わりませんのでご注意ください。

税理士法人ウィズでは税制改正等の情報発信、経営に役立つセミナー等の開催を毎月行っています。下記セミナーページもぜひご覧ください!
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【減税には作業が必要!】定額減税の基礎

今回は定額減税について基礎的な内容をお伝えします。

給与からの減税のため、6月以降の給与計算は確認事項がかなり増えますので、給与計算を担当する方にとっては多くの注意点が発生します。

①概要

まず初めに、定額減税の概要を説明し、対象者と減税額について確認します。

定額減税は、昨年12月に閣議決定されたもので、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するための一時的な措置です。

この政策は、物価高による家計の圧迫を軽減し、皆様の負担を減らすことを目的としています。

対象者は、給与所得者、事業所得者、年金受給者の3つに分かれており、今回は給与所得者に絞って説明します。

②対象者

次に、対象者の要件について説明します。

対象者は日本在住であり、国内の家計の負担軽減が目的です。

また、令和6年分の合計所得が1,805万円以下、つまり年収が2,000万円以下の方が対象です。

ただし、年収が2,000万円を超える方や、給与所得以外に不動産所得や退職所得がある場合は対象外ですので、注意が必要です。

②減税額

さらに、減税額について説明します。基本的には4万円が減税されます。

内訳は、所得税が3万円、住民税が1万円です。また、扶養親族がいる場合はその人数もカウントされ、同一世帯の配偶者や扶養親族がいる場合はそれぞれ4万円が加算されます。

例えば、同一生計配偶者とお子様が2名の場合、合計4名分の16万円の減税額になります。

注意点としては、

ⅰ 配偶者の年収が103万円以下であれば数に入ります。

ⅱ 16歳未満の扶養者も数に入ります。

④給与実務

定額減税の給与計算においては、月次減税と年末調整の2つの方法で減税額を処理します。

月次減税では、給与から定額減税を差し引きます。

住民税はそれぞれ市区町村が計算し、納税額の通知が出る予定です。

給与計算の際にその金額を差し引きすることになります。扶養控除等申告書の情報の再確認や、扶養親族の確認、管理表の作成などが必要です。

給与明細にも月ごとの減税額を記載する必要があります。

6月までに下記の準備をしましょう。

  • 扶養の再確認(配偶者の情報や、16歳未満も含めて)
  • 「各人別控除事績簿」の作成
  • 給与ソフト使っている場合は対応の有無

参考:国税庁「各人別控除事績簿 様式・記載例」
https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/yoshiki.htm

年末調整では、月次減税で相殺できなかった分を処理します。

⑤まとめ

・減税処理をするため、6月からの給与計算で対応が必要になります。

・処理が必要なのは1人当たり3万円の減税となる所得税で、住民税はそれぞれの市区町村が計算を行うため処理は不要です。
※扶養人数によって増えます。

・非居住者や、年収が2,000万円を超える方は対象外です。

・年末調整で対応が必要な方もいらっしゃいます。

いかがでしたでしょうか?
定額減税では給与計算での作業が増えるため、対象者や計算方法を知る必要があります。

国税庁から定額減税に関する特設サイトも公開されていますので、あわせてご確認ください。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/index.htm

迷った際は税理士法人ウィズまでご相談ください。

【電子帳簿保存法】メールで受け取った請求書はどう保存する?


みなさまこんにちは!税理士法人ウィズです。
今回は、「電子帳簿保存法」についてご紹介させていただきます。

1.電子帳簿保存法について

令和5年12月31日より「宥恕期間ゆうじょきかん」が終了します。
令和6年1月1日以降の電子取引については、「紙での保存」ができなくなります。

電子帳簿保存法で勘違いされていることがあるので大前提としてお伝えしますが、メールなどで受け取った請求書や領収書の保存方法が「電子的に保存」となります。
保存方法が「電子的」となるだけで、紙に出力することを禁止するものではありません。

例えば、
・会計入力をする際に画面上では見づらいのでPDFで届いた請求書を紙に出力して作業する
はOKです。
ただ、原本として保存しなければならないのは、「PDF」となるので、PCやサーバー上に決まったルールで「PDFを保存」することになります。

2.メールで届いた請求書

それでは、メールで届いた請求書はどのようなどう保存するのか、お話していきます。
『国税庁:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】』には以下のようにあります。


【質問】 電子メールを受信した場合、どのように保存すればよいのでしょうか。
【回答】 電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます。)を行った場合についても電子取引に該当するため(法2五)、その取引情報に係る電磁的記録の保存が必要となります(法7)。具体的に、この電磁的記録の保存とは、電子メール本文に取引情報が記載されている場合は当該電子メールを、電子メールの添付ファイルにより取引情報(領収書等)が授受された場合は当該添付ファイルを、それぞれ、ハードディスク、ンパクトディスク、DVD、磁気テープ、クラウド(ストレージ)サービス等に記録・保存する状態にすることをいいます。


要約すると、
 ・メールの本文に取引情報(=取引日付・取引先・取引金額)が書いていれば、メールを保存する。
 ・メールに請求書のPDFなどが添付されていたら、PDFを保存する。
となります。
添付されたPDFの保存はダウンロードすれば良いので、PCやサーバー上に保存できますね。

3.「メールの本文」に記載がある場合

では「メールの本文」に記載がある場合についてはどうすればよいのでしょうか。
『国税庁:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】』に以下のようにあります。


【質問】 自社のメールシステムでは受領した取引情報に係る電子データについて検索機能を備えることができません。その場合、メールの内容をPDF等にエクスポート・変換し、検索機能等を備えた上で保存する方法も認められますか。
【回答】 認められます。当該メールに含まれる取引情報が失われないのであれば、メールの内容をPDF等にエクスポート・変換するなど合理的な方法により編集したもので保存することとしても差し支えありません。


こちらも要約すると、
・メールをPDF(スクリーンショットも可)にして保存しても良い。
・ただし、メールの内容と一切変わらず、きちんと確認できること。となります。

他にもSNSのメッセージ機能やメッセージアプリ等を利用する場合もあると思いますが、現状はスクリーンショットでの対応になりそうですね。

いかがでしたでしょうか。
メールで請求書のやり取りをするのが一般的な昨今では、必ず対応しなければならなくなってきています。
今回挙げた内容以外にも、対応しなければならないことはあります。
お困りの際は、ぜひ税理士法人ウィズまでご連絡ください!

【インボイス制度】クレジットカード決済手数料の消費税

みなさま、こんにちは。税理士法人ウィズです。
インボイス制度の開始を機に、免税事業者から課税事業者になった方がいらっしゃると思います。
そんな中、消費税が課税?非課税?と悩むこともあるのではないでしょうか?
今回は、経営者や経理担当者の皆様に向け、「クレジットカードの決済手数料と消費税」についてのお話をさせていただきます。

1.クレジットカードの決済手数料は課税?それとも非課税?

法人クレジットカードを利用することで、キャッシュレス化を図れるため、利用されている方も多いと思います。
一括払いではなく、回数払いを利用すると「決済手数料」が発生します。
クレジットカード会社に支払う決済手数料が消費税の課税対象になるのか否か…果たしてどちらでしょうか。

その答えは・・・

 ”ならない(非課税取引)” が正解です!

2.考え方

通常の取引においては、商品やサービスの対価として発生した支払手数料は、消費税の課税対象となります。
しかし、クレジットカードの決済手数料は、基本的には消費税の課税対象外とされています。
これは、クレジットカード会社が事業者から請求する手数料が「商品やサービスの対価として発生している」のではなく、「金銭の提供に対する対価として生じている」ためです。お金を前借りしていた分に対する利子のようなものと捉えるとわかりやすいかもしれませんね。
ちなみにカード会社に払う年会費は、クレジット決済を使えるサービスの提供を受けていることになるため、消費税の対象です。

3.まとめ

結論として、クレジットカード会社に支払う決済手数料は、一般的な商品やサービスの支払手数料とは異なり、消費税の対象外となります。
ややこしいですが、経理の方は必ず押さえておきたいポイントです。


いかがでしたか。パーキングメーターの消費税のブログに引き続き、今回はクレジットカードの手数料についてまとめさせていただきました。

今回の情報がビジネス運営においてお役に立てれば幸いです。
何か質問や疑問がございましたら、お気軽にお知らせください。

【参考】国税庁HP:クレジットカード手数料
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/06/02.htm[/qt]


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【インボイス制度】パーキングメーターの消費税
https://www.z-with.or.jp/bloglist/invoiceparkingmeter/

インボイス制度 請求書をもらった時の注意点とは?【適格請求書保存方式】
https://www.z-with.or.jp/bloglist/invoice2023-6/

【インボイス特例】2割特例で納税額が減る?やり方・受け方を解説!【元免税事業者のメリット】
https://www.z-with.or.jp/bloglist/2waritokurei/

税理士法人ウィズではインボイス制度に関する勉強会や、経営に役立つセミナー等を毎月開催しております!
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【インボイス制度】パーキングメーターの消費税

みなさんこんにちは!税理士法人ウィズです。
インボイス制度が始まって、会計処理でお困りではありませんか?

質問は様々ありますが、一つ事例を紹介します。

「パーキング・メーター代の領収書に消費税が書いていませんが、処理はどうすればよいですか?」
答えは、「非課税取引」です。

パーキング・メーターは警視庁に支払いをする「警察手数料」にあたります。
え?ただの駐車料金じゃないの?と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、

パーキング・メーターの領収書には「作動手数料」と記載があり、駐車料金ではありません。

あくまで、パーキング・メーターを利用した料金、ということです。

上記の理由から、インボイス番号の記載もありませんし、消費税がかかっていない取引なのです。

パーキング・メーター管理法人の場合も非課税ですか?

これと関連した話で、”パーキング・メーター管理法人”というものが発行している領収証もあります。

パーキング・メーター管理法人とは・・・

パーキング・メーター等の管理及び手数料徴収事務を、警視庁が外部委託している場合の委託先の呼称になります。

警察手数料を、警視庁の代わりに外部の法人が徴収していますよ、ということです。

外部に委託されている場合でもパーキング・メーター管理法人へ支払っているのはあくまで「警察手数料」となりますので、

消費税は「非課税取引」に該当します。

皆さま経理処理をされる際にはお間違いないようご注意くださいね。


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【適格請求書等保存方式】適格請求書って何?いつから始まる?【インボイス制度】
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インボイス制度 請求書をもらった時の注意点とは?【適格請求書保存方式】
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【インボイス特例】2割特例で納税額が減る?やり方・受け方を解説!【元免税事業者のメリット】
https://www.z-with.or.jp/bloglist/2waritokurei/

税理士法人ウィズではインボイス制度に関する勉強会や、経営に役立つセミナー等を毎月開催しております!
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【インボイス特例】2割特例で納税額が減る?やり方・受け方を解説!【元免税事業者のメリット】

2023年の税制改正で2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)が公表されました!
この特例は、インボイス制度開始にあたり免税事業者からインボイス発行事業者になる方に向けて、経理処理や納税額の負担を軽減するため設けられました。
この2割特例とはどのような制度なのでしょうか?対象となる方や適用期間をご紹介いたします!

1.「2割特例」とは?

2割特例とは、インボイス制度をきっかけに免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった方については本来、支払った消費税を仕入税額控除の金額とするところ、特別控除税額(預かった消費税の100分の80に相当する金額)を仕入税額控除の代わりとすることができる制度です。

EX)
売上高(税込) 990万円(内消費税90万円)
仕入高(税込) 550万円(内消費税50万円)

・本則課税の場合
90万円-50万円=40万円

・2割特例を適用する場合
90万円-(90万円×80%)=18万円(預かった消費税の20%)

2割特例の方が22万円納付税額が少ない!

出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/01.htm

つまり、2割特例を適用した場合には、実際に国に納める消費税額はお客様から預かった消費税の2割ということになります。
そのため課税仕入が課税売上の8割に達しなければ、2割特例を利用した方が有利となります!

2.対象となる事業者

2割特例の対象は、インボイス制度をきっかけに免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった事業者です。

ただし、以下の事項等に該当しない事業者になります。

①基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えている課税期間があるとき
②特定期間による免除の特例により事業者免税点制度の適用が制限される課税期間があるとき
 ・特定期間(前事業年度開始の日から6か月の期間)の課税売上高が1,000万円を超えている
 ・特定期間の給与等支払額が1,000万円を超えている
③課税期間を1か月や3か月に短縮している課税期間があるとき
 EX)2023/10/1-2023/12/31が消費税の課税期間⇒課税期間を3か月に短縮しているため、2割特例は適用できない。
など                                                                                   

※2割特例の対象者となる要件の詳しい概要は、下記リンクのP.139-143からご確認ください。
国税庁 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存様式に関するQ&A
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf

3.適用できる期間

2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日を含む事業年度となります。
そのため、最大4回の申告で2割特例を適用できます。

EX1) 3月決算法人の場合
 令和5年4月1日~令和6年3月31日
 令和6年4月1日~令和7年3月31日
 令和7年4月1日~令和8年3月31日
 令和8年4月1日~令和9年3月31日 

EX2) 個人事業主、12月決算法人の場合
 令和5年10月1日~令和5年12月31日
 令和6年1月1日~令和6年12月31日
 令和7年1月1日~令和7年12月31日
 令和8年1月1日~令和8年12月31日

⇒以上の事業年度で2割特例を適用することができる!

4.適用方法

2割特例の適用に届出・申請の必要はありません。
申告の際に、消費税申告書に2割特例を適用する旨の付記をすれば、適用できることとなっています。


インボイス制度の詳細やその他税制改正等についても記事を作成しておりますので、ぜひご覧ください!