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日本橋人形町の税理士事務所

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【適格請求書等保存方式】免税事業者だけど適格請求書(インボイス)を発行できるの?【インボイス方式】

令和5年10月1日から導入される適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス方式について、全4回にわたってわかりやすく説明していきます。

<前回まではコチラ>

第1回
適格請求書って何?いつから始まる?

①適格請求書とは

②適格請求書等保存方式とは

③適格請求書を発行するには

第2回
取引先から適格請求書(インボイス)が欲しいといわれた!どうすればいいの?

①適格請求書発行事業者の義務等について

②適格請求書及び適格簡易請求書の記載事項

③適格請求書の交付義務免除

④適格請求書の交付方法の特例

<次回はコチラ>

第4回

適格請求書(インボイス)をもらった時に気をつける事は??
・適格請求書をもらったとき(買い手側)の注意点


前回まで適格請求書(インボイス)の概要・発行する売り手側の注意点についてお話しさせていただきました。
今回は、免税事業者の適格請求書(インボイス)の発行についてお話していきたいと思います。


①免税事業者の登録手続について

免税事業者が適格請求書(インボイス)の発行を行うには適格請求書発行事業者の登録申請書、登録申請書に加えて「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者となる必要があります。

但し、令和5年10月1日を含む課税期間中に登録を受ける場合は、登録を受けた日から課税事業者となる経過措置が設けられています。

(1)登録日が令和5年10月1日の属する課税期間の場合(経過措置の適用を受ける場合)

(例)12月決算の法人で、令和5年10月1日から登録を受ける場合

※この場合、「消費税課税事業者選択届出書」の提出は必要ありません。
また、登録日以降は課税事業者となるため、消費税の申告が必要になります。

※令和5年3月31日までに提出することが困難な事情がある場合は、令和5年9月30日まで

(2)登録日が令和5年10月1日の属する課税期間の翌課税期間以降の場合

(例)12月決算の法人で、課税事業者となった課税期間の初日である令和6年1月1日から登録を受ける場合

※この場合、「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者を選択するとともに課税事業者となる課税期間の初日の前日から起算して1月前の日までに登録申請書の提出が必要となります。


②免税事業者が適格請求書発行事業者になるメリット、デメリット

<メリット>

売上の減少リスクを回避することができる
適格請求書発行事業者の登録を受けなければ、インボイスを交付することができません。要するに、取引先からすると仕入税額控除を適用できなくなってしまうのです。

取引先にとって、仕入税額控除の適用を受けられないのは大きな損となります。(一応、2029年までは段階的な経過措置が認められていますが、それでも登録事業者との取引と比べると損になります。)

そうなると取引先は登録事業者との取引を望む可能性が高く、登録事業者でない免税事業者は取引先を失ったり、新規の取引先を獲得しにくくなる可能性が大いにあります。登録事業者となることで、売上の減少リスクを回避することができます。

<デメリット>

消費税の納税義務が生じる。

登録事業者になるということは課税事業者になるということですから、消費税の納税義務が生じます。したがって納税を回避することはできなくなります。

その為、免税事業者は、登録事業者となって売上の減少を回避するか、登録事業者とはならずに納税を回避するか、どちらを取るかを選択しなければなりません。

【適格請求書等保存方式】取引先から適格請求書(インボイス)が欲しいといわれた!どうすればいいの?【インボイス方式】

令和5年10月1日から導入される適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス方式について、全4回にわたってわかりやすく説明していきます。


<前回はコチラ>
第1回「適格請求書って何?いつから始まる?」

①適格請求書とは
②適格請求書等保存方式とは
③適格請求書を発行するには

<次回以降はコチラ>
第3回 「免税事業者だけど適格請求書(インボイス)を発行できるの?」
・免税事業者が適格請求書を発行するには
第4回 「適格請求書(インボイス)をもらった時に気をつける事は??」
・適格請求書をもらったとき(買い手側)の注意点


前回は適格請求書(インボイス)の概要についてお話しさせていただきました。
今回は、取引先から適格請求書(インボイス)が欲しいと言われた時に発行する売り手側の注意点についてお話いたします。


①適格請求書発行事業者の義務等について

適格請求書発行事業者には、適格請求書を交付することが困難な一定の場合を除き、取引の相手方(課税事業者に限ります。)の求めに応じて、適格請求書を交付する義務及び交付した適格請求書の写しを保存する義務が課されます。

※不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等については、記載事項を簡易なものとした「適格簡易請求書」を交付することができます。


②適格請求書及び適格簡易請求書の記載事項

適格請求書発行事業者は、以下の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類する書類を交付しなければなりません。赤文字下線の項目が、現行の区分記載請求書の記載事項に追加される事項です。


③適格請求書の交付義務免除

適格請求書を交付することが困難な以下の取引は、適格請求書の交付義務が免除されます。
(1)公共交通機関である船舶、バス又は鉄道による旅客の運送(3万円未満のものに限ります。)
(2)出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の譲渡(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。)
(3)生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の譲渡(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)
(4)自動販売機により行われる課税資産の譲渡等(3万円未満のものに限ります。)
(5)郵便切手を対価とする郵便サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)


④適格請求書の交付方法の特例

媒介又は取次ぎに係る業務を行う者(媒介者等を介して行う課税資産の譲渡等について、委託者及び媒介者等の 方が適格請求書発行事業者である場合には 一定の要件の下、媒介者等が、自己の氏名又は名称及び登録番号を記載した適格請求書を委託者に代わって交付することができます 。

【適格請求書等保存方式】適格請求書って何?いつから始まる?【インボイス方式】

令和5年10月1日から導入される適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス方式について、
全4回にわたってわかりやすく説明していきます。

<次回以降はコチラ>

第2回 「取引先から適格請求書(インボイス)が欲しいといわれた!どうすればいいの?」

・適格請求書発行事業者の義務等について

・適格請求書及び適格簡易請求書の記載事項

・適格請求書の交付義務免除

・適格請求書の交付方法の特例

第3回 「免税事業者だけど適格請求書(インボイス)を発行できるの?」

・免税事業者が適格請求書を発行するには

第4回 「適格請求書(インボイス)をもらった時に気をつける事は??」

・適格請求書をもらったとき(買い手側)の注意点

今回は“適格請求書等”とはどういうものなのか、概要をお話ししていきます。

これまでの「請求書保存方式」ではいくらで販売または購入したかがわかる請求書の保存が必要でした。

消費税率が1種類だったため、「請求書保存方式」で問題はありませんでした。

しかし、2019年10月の消費税増税にともなって軽減税率が導入され、8%と10%、2つの消費税率が混在するようになりました。

それまでの税率は商品の種類にかかわらず一律だったため、税額はかんたんに算出できました。

しかし、異なる税率の混在により、商品の仕入れや販売時の税額計算は複雑になってしまいました。そこでインボイス制度が導入されることとなったのです。

それでは見ていきましょう。

①適格請求書(インボイス)とは

まず“適格請求書(インボイス)”とはどういったものでしょうか。

「売り手が買い手に対し、適用した税率や消費税の額を伝えるための手段」であり、記載事項が要件を満たしている請求書や納品書、その他これらに類する書類をいいます。

※ 請求書や納品書、領収書、レシート等、その書類の名称は問いません。

②適格請求書等保存方式とは

“適格請求書等保存方式”とは令和5年10月1日から、買い手側の消費税の仕入税額控除の方式として導入される制度でいわゆるインボイス制度です。

消費税の仕入税額控除の要件として「適格請求書(インボイス)」の保存が必要となります。

売り手側が発行した請求書等が「適格請求書(インボイス)」の要件を満たしていない場合は、消費税の仕入税額控除が出来ないということになります。

※令和3年現在(令和5年9月30日まで)の仕入税額控除の方式は、区分記載請求書等保存方式です。

③適格請求書を発行するには

最後に「適格請求書発行事業者登録制度」についてお話ししていきます。

適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られます。ではどのようにすれば「適格請求書発行事業者」になれるのでしょうか。

適格請求書発行事業者となるためには、税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」 を提出し、登録を受ける必要があります。

なお、課税事業者でなければ登録を受けることはできません。

※適格請求書発行事業者は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下となった場合であっても登録を取り消さない限り、免税事業者にはならず、消費税及び地方消費税の申告・納税義務が生じますのでご注意ください。