中小企業経営者をサポートする
日本橋人形町の税理士事務所

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【減税には作業が必要!】定額減税の基礎

今回は定額減税について基礎的な内容をお伝えします。

給与からの減税のため、6月以降の給与計算は確認事項がかなり増えますので、給与計算を担当する方にとっては多くの注意点が発生します。

①概要

まず初めに、定額減税の概要を説明し、対象者と減税額について確認します。

定額減税は、昨年12月に閣議決定されたもので、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するための一時的な措置です。

この政策は、物価高による家計の圧迫を軽減し、皆様の負担を減らすことを目的としています。

対象者は、給与所得者、事業所得者、年金受給者の3つに分かれており、今回は給与所得者に絞って説明します。

②対象者

次に、対象者の要件について説明します。

対象者は日本在住であり、国内の家計の負担軽減が目的です。

また、令和6年分の合計所得が1,805万円以下、つまり年収が2,000万円以下の方が対象です。

ただし、年収が2,000万円を超える方や、給与所得以外に不動産所得や退職所得がある場合は対象外ですので、注意が必要です。

②減税額

さらに、減税額について説明します。基本的には4万円が減税されます。

内訳は、所得税が3万円、住民税が1万円です。また、扶養親族がいる場合はその人数もカウントされ、同一世帯の配偶者や扶養親族がいる場合はそれぞれ4万円が加算されます。

例えば、同一生計配偶者とお子様が2名の場合、合計4名分の16万円の減税額になります。

注意点としては、

ⅰ 配偶者の年収が103万円以下であれば数に入ります。

ⅱ 16歳未満の扶養者も数に入ります。

④給与実務

定額減税の給与計算においては、月次減税と年末調整の2つの方法で減税額を処理します。

月次減税では、給与から定額減税を差し引きます。

住民税はそれぞれ市区町村が計算し、納税額の通知が出る予定です。

給与計算の際にその金額を差し引きすることになります。扶養控除等申告書の情報の再確認や、扶養親族の確認、管理表の作成などが必要です。

給与明細にも月ごとの減税額を記載する必要があります。

6月までに下記の準備をしましょう。

  • 扶養の再確認(配偶者の情報や、16歳未満も含めて)
  • 「各人別控除事績簿」の作成
  • 給与ソフト使っている場合は対応の有無

参考:国税庁「各人別控除事績簿 様式・記載例」
https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/yoshiki.htm

年末調整では、月次減税で相殺できなかった分を処理します。

⑤まとめ

・減税処理をするため、6月からの給与計算で対応が必要になります。

・処理が必要なのは1人当たり3万円の減税となる所得税で、住民税はそれぞれの市区町村が計算を行うため処理は不要です。
※扶養人数によって増えます。

・非居住者や、年収が2,000万円を超える方は対象外です。

・年末調整で対応が必要な方もいらっしゃいます。

いかがでしたでしょうか?
定額減税では給与計算での作業が増えるため、対象者や計算方法を知る必要があります。

国税庁から定額減税に関する特設サイトも公開されていますので、あわせてご確認ください。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/index.htm

迷った際は税理士法人ウィズまでご相談ください。

【電子帳簿保存法】メールで受け取った請求書はどう保存する?


みなさまこんにちは!税理士法人ウィズです。
今回は、「電子帳簿保存法」についてご紹介させていただきます。

1.電子帳簿保存法について

令和5年12月31日より「宥恕期間ゆうじょきかん」が終了します。
令和6年1月1日以降の電子取引については、「紙での保存」ができなくなります。

電子帳簿保存法で勘違いされていることがあるので大前提としてお伝えしますが、メールなどで受け取った請求書や領収書の保存方法が「電子的に保存」となります。
保存方法が「電子的」となるだけで、紙に出力することを禁止するものではありません。

例えば、
・会計入力をする際に画面上では見づらいのでPDFで届いた請求書を紙に出力して作業する
はOKです。
ただ、原本として保存しなければならないのは、「PDF」となるので、PCやサーバー上に決まったルールで「PDFを保存」することになります。

2.メールで届いた請求書

それでは、メールで届いた請求書はどのようなどう保存するのか、お話していきます。
『国税庁:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】』には以下のようにあります。


【質問】 電子メールを受信した場合、どのように保存すればよいのでしょうか。
【回答】 電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます。)を行った場合についても電子取引に該当するため(法2五)、その取引情報に係る電磁的記録の保存が必要となります(法7)。具体的に、この電磁的記録の保存とは、電子メール本文に取引情報が記載されている場合は当該電子メールを、電子メールの添付ファイルにより取引情報(領収書等)が授受された場合は当該添付ファイルを、それぞれ、ハードディスク、ンパクトディスク、DVD、磁気テープ、クラウド(ストレージ)サービス等に記録・保存する状態にすることをいいます。


要約すると、
 ・メールの本文に取引情報(=取引日付・取引先・取引金額)が書いていれば、メールを保存する。
 ・メールに請求書のPDFなどが添付されていたら、PDFを保存する。
となります。
添付されたPDFの保存はダウンロードすれば良いので、PCやサーバー上に保存できますね。

3.「メールの本文」に記載がある場合

では「メールの本文」に記載がある場合についてはどうすればよいのでしょうか。
『国税庁:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】』に以下のようにあります。


【質問】 自社のメールシステムでは受領した取引情報に係る電子データについて検索機能を備えることができません。その場合、メールの内容をPDF等にエクスポート・変換し、検索機能等を備えた上で保存する方法も認められますか。
【回答】 認められます。当該メールに含まれる取引情報が失われないのであれば、メールの内容をPDF等にエクスポート・変換するなど合理的な方法により編集したもので保存することとしても差し支えありません。


こちらも要約すると、
・メールをPDF(スクリーンショットも可)にして保存しても良い。
・ただし、メールの内容と一切変わらず、きちんと確認できること。となります。

他にもSNSのメッセージ機能やメッセージアプリ等を利用する場合もあると思いますが、現状はスクリーンショットでの対応になりそうですね。

いかがでしたでしょうか。
メールで請求書のやり取りをするのが一般的な昨今では、必ず対応しなければならなくなってきています。
今回挙げた内容以外にも、対応しなければならないことはあります。
お困りの際は、ぜひ税理士法人ウィズまでご連絡ください!

【インボイス特例】2割特例で納税額が減る?やり方・受け方を解説!【元免税事業者のメリット】

2023年の税制改正で2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)が公表されました!
この特例は、インボイス制度開始にあたり免税事業者からインボイス発行事業者になる方に向けて、経理処理や納税額の負担を軽減するため設けられました。
この2割特例とはどのような制度なのでしょうか?対象となる方や適用期間をご紹介いたします!

1.「2割特例」とは?

2割特例とは、インボイス制度をきっかけに免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった方については本来、支払った消費税を仕入税額控除の金額とするところ、特別控除税額(預かった消費税の100分の80に相当する金額)を仕入税額控除の代わりとすることができる制度です。

EX)
売上高(税込) 990万円(内消費税90万円)
仕入高(税込) 550万円(内消費税50万円)

・本則課税の場合
90万円-50万円=40万円

・2割特例を適用する場合
90万円-(90万円×80%)=18万円(預かった消費税の20%)

2割特例の方が22万円納付税額が少ない!

出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/01.htm

つまり、2割特例を適用した場合には、実際に国に納める消費税額はお客様から預かった消費税の2割ということになります。
そのため課税仕入が課税売上の8割に達しなければ、2割特例を利用した方が有利となります!

2.対象となる事業者

2割特例の対象は、インボイス制度をきっかけに免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった事業者です。

ただし、以下の事項等に該当しない事業者になります。

①基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えている課税期間があるとき
②特定期間による免除の特例により事業者免税点制度の適用が制限される課税期間があるとき
 ・特定期間(前事業年度開始の日から6か月の期間)の課税売上高が1,000万円を超えている
 ・特定期間の給与等支払額が1,000万円を超えている
③課税期間を1か月や3か月に短縮している課税期間があるとき
 EX)2023/10/1-2023/12/31が消費税の課税期間⇒課税期間を3か月に短縮しているため、2割特例は適用できない。
など                                                                                   

※2割特例の対象者となる要件の詳しい概要は、下記リンクのP.139-143からご確認ください。
国税庁 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存様式に関するQ&A
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf

3.適用できる期間

2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日を含む事業年度となります。
そのため、最大4回の申告で2割特例を適用できます。

EX1) 3月決算法人の場合
 令和5年4月1日~令和6年3月31日
 令和6年4月1日~令和7年3月31日
 令和7年4月1日~令和8年3月31日
 令和8年4月1日~令和9年3月31日 

EX2) 個人事業主、12月決算法人の場合
 令和5年10月1日~令和5年12月31日
 令和6年1月1日~令和6年12月31日
 令和7年1月1日~令和7年12月31日
 令和8年1月1日~令和8年12月31日

⇒以上の事業年度で2割特例を適用することができる!

4.適用方法

2割特例の適用に届出・申請の必要はありません。
申告の際に、消費税申告書に2割特例を適用する旨の付記をすれば、適用できることとなっています。


インボイス制度の詳細やその他税制改正等についても記事を作成しておりますので、ぜひご覧ください!

インボイス制度 請求書をもらった時の注意点とは?【適格請求書保存方式】

みなさまこんにちは。税理士法人ウィズです!

令和5年10月に開始が迫っている「インボイス制度」について、わかりやすくご紹介していきます!

前回まではインボイス制度の概要や、適格請求書(インボイス)を発行する売り手側の注意点についてお話しさせていただきました。

今回は、適格請求書(インボイス)を受け取る買い手側の注意点をご紹介します!

令和5年度税制改正大綱により改正された点についても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください!

<前回の記事はこちらから!>
【適格請求書等保存方式】適格請求書って何?いつから始まる?【インボイス制度】

1.仕入税額控除とは?

消費税の納付は、売上等により預かった消費税から仕入等により支払った消費税を差し引いた金額を納付します。

上記の仕入等により支払った消費税を差し引くことが出来る制度が「仕入税額控除」です。

出典:国税庁「適格請求書等保存方式の概要」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0020006-027.pdf#page=3

2.仕入税額控除の要件

インボイス制度が開始されると、消費税の仕入税額控除を受ける際に一定の事項が記載された帳簿及び売手が発行した「適格請求書」等の受取・保存が必要になります。

出典:国税庁「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0022009-090.pdf#page=31

※免税事業者や消費者など、請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れは原則として仕入税額控除の適用を受けることはできません。

3.保存対象となる請求書等の範囲

保存が必要となる請求書等の範囲は次の通りです。

① 適格請求書(インボイス)または適格簡易請求書(簡易インボイス)
② 適格請求書の記載事項が記載された仕入明細書、仕入計算書その他これに類する書類
(課税仕入の相手方において課税資産の譲渡等に該当するもので、相手方の確認を受けたものに限る。)
③ 次の取引について、媒介又は取次ぎに係る業務を行う者が作成する一定の書類
 (書類に記載すべき事項に係る電磁的記録を含む。)
・卸売市場において出荷者から委託を受けて卸売の業務として行われる生鮮食料品等の販売
・農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等が生産者から委託を受けて行う農林水産物の販売
 (無条件委託方式かつ共同計算方式によるものに限る。)
④ ①から③の書類に係る電磁的記録

適格請求書の記載事項についてはこちら!

4.保存義務が免除になるもの

請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる取引があります。対象となる取引は以下の通りです。

① 公共交通機関特例の対象として適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送

② 適格簡易請求書の記載事項が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引

③ 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物の購入

④ 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物の取得

⑤ 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物の購入

⑥ 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品の購入

⑦ 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等 

⑧ 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

⑨ 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

※③~⑥についてはそれぞれの棚卸資産に該当するものに限ります。

5.少額特例について(改正ポイント)

令和5年度税制改正大綱により、一定規模以下の事業者の事務負担を軽減するため少額取引(税込1万円未満)について一定の帳簿のみを保存することで仕入税額控除が可能となりました!
基準期間における課税売上高が1億円以下または特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者が適用対象者となります。
この少額特例は令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間が適用対象です。
取引先がインボイス発行事業者であるかどうかは関係なく、免税事業者であっても同様になります。

※少額特例は、税込1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存を不要とするものであり、インボイス発行事業者の交付義務が免除されているわけではありません。インボイス発行事業者は課税事業者からインボイスを求められた場合には交付する必要があります。

税込1万円未満の判定について

「税込1万円未満の課税仕入れ」に該当するかついては、一回の取引の課税仕入れに係る金額(税込)が1万円未満かどうかで判定します。課税仕入れに係る一商品ごとの金額により判定するものではありません。
例:税込5,500円の商品と税込7,700円の商品を同時に購入した場合(合計13,200円)
  →少額特例の対象外

参考:国税庁 少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置の概要)の概要
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/02.htm

6.経費の立替払について

他の事業者から経費の立替払を受ける場合

B社が立替払を行った課税仕入について、立替を受けるA社が仕入税額控除を行う場合、B社宛てに発行された適格請求書をそのまま受領するだけでは仕入税額控除を行うことが出来ません。
仕入税額控除を行うには、立替払をしたB社から立替金精算書等の交付を受けるなど、立替分の課税仕入がA社のものであることを明らかにする必要があります。
※B社宛ての適格請求書及び立替金精算書等の書類の保存も必要

出典:国税庁「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0022009-090.pdf#page=42

7.免税事業者等からの仕入

インボイス制度のもとでは、適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れについては仕入税額控除のために保存が必要な請求書等の交付を受けることができないことから、仕入税額控除を行うことができません。
ただし、制度開始から6年間は仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。

出典:国税庁「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の手引き」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0022009-090.pdf#page=43

この経過措置の適用を受けるためには、次の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件となります。

帳簿

区分記載請求書等保存方式の記載事項に加え、「80%控除対象」など経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載が必要となります。具体的には次の事項となります。
① 課税仕入の相手方の氏名又は名称
② 課税仕入を行った年月日
③ 課税仕入に係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)及び経過措置の適用を受ける課税仕入である旨
④ 課税仕入れに係る支払対価の額

※③の「経過措置の適用を受ける課税仕入である旨」記載については個々の取引ごとに「80%控除対象」、「免税事業者からの仕入れ」などと記載する方法のほか、対象となる取引に、「※」や 「☆」といった記号等を表示し、かつ、これらの記号・番号等が「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を別途「※(☆)は 80%控除対象」などと表示する方法も認められます!

請求書等

区分記載請求書等と同様の記載事項が必要となります(区分記載請求書等に記載すべき事項に係る電磁的記録を含みます。)。具体的には、次の事項となります。
① 書類の作成者の氏名又は名称
② 課税資産の譲渡等を行った年月日
③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲 渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
④ 税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額
⑤ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称


最後までご覧いただきありがとうございました!

インボイス制度の開始までに制度の理解を深め、対応できるように前もって準備を進めておきましょう!
ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください!

税理士法人ウィズではインボイス制度に関する勉強会や、経営に役立つセミナー等を毎月開催しております!下記オンラインショップよりぜひご参加ください!
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【スタッフ紹介】とあるチーム会議にてpart2

鈴木 正義
鈴木 正義
これからチーム会議を始めます。
今回の決算検討は〜…B飲食店さんですね。
では⻘木さんお願いします。
お!私ですね!
では、トップバッターいっちゃいます!
青木 さおり
青木 さおり
棚橋 泰之
棚橋 泰之
さっさと始めてください。(笑)
B飲食店さんは都内で居酒屋をしています。
学生などのアルバイトだけですが、
ゆくゆくは複数店舗を持つことが夢で
店長候補としての正社員も雇いたいと
おっしゃっていました。
採用広告も出しています。
青木 さおり
青木 さおり
小松 加奈
小松 加奈
複数店舗を持ちたいという夢は素晴らしですね!
コロナの影響は受けなかったのですか?
それが打撃ありまくりで!
一時はどうなるかと社長も頭を抱えていたのですが、
新規のメニュー開発や馴染みのお客さんが徐々に戻ってきて、
なんとかコロナ前の8割くらいまで回復してきたようです。
その回復劇が社長のモチベーションアップになり、
以前から夢だった複数店舗を構える決意をしたようです!
青木 さおり
青木 さおり
玉井 佳善子
玉井 佳善子
じゃあ、あと2割はうちらで補填しに行きましょう!(飲みにいきたい。)
佐藤 基頌
佐藤 基頌
……。
回復してきてよかったですね。
けど今の時代、人の採用は難しいのではないでしょうか?
応募は来ているのですか?
それがコロナの影響で飲食業やサービス業で
働きたいという人が減っているようでなかなか…。
数少ない応募の中、雇ってもすぐ辞めてしまったり、
難航しているようです。
青木 さおり
青木 さおり
鈴木 正義
鈴木 正義
確かに飲食店は人の定着率が低い業界ですからね。
最初は雇われ店長でも、
将来は「のれん分け」のような形で自分の店を持てるとか、
そういった制度的なものは考えてないんですか?
特に名だたるラーメン店!
とかそういうわけでは無いので、
社長自身そういう考え自体ないかもしれないです。
今度社長に聞いてみます!
青木 さおり
青木 さおり
棚橋 泰之
棚橋 泰之
だからこんなに広告宣伝費がかかってたのか~
なるほど、なるほど。
小松 加奈
小松 加奈
そういえば、
最近居酒屋さんでもテイクアウトを始めてるけど、
この会社さんはテイクアウトはしてないんですか?
玉井 佳善子
玉井 佳善子
確かに!
消費税の軽減税率が関係してくるところだから重要だわ!
日報レシートを見る限り、
消費税10%しかないのでイートインのみかと思います。
青木 さおり
青木 さおり
鈴木 正義
鈴木 正義
そこは念のために確認した方がいいですよ。
学生アルバイトさんは消費税のことに気づかずに
対応してるかもしれませんよ。
棚橋 泰之
棚橋 泰之
僕も学生の時、
消費税なんて気にせずレジ打ちしてました~。
佐藤 基頌
佐藤 基頌
僕は一応気にはしていました。
けど、きちんしたと知識がなかったので、
今思うと結構認識が甘かったかもしれません。
棚橋 泰之
棚橋 泰之
……。          
わかりました!確認してみます!
青木 さおり
青木 さおり
玉井 佳善子
玉井 佳善子
あれ?原価率前期に比べて
10%も下がっているじゃないですか!
何があったんですか!?
それがコロナの影響で
時短や休業などがあり、廃棄材料が多かったようで…。
青木 さおり
青木 さおり
鈴木 正義
鈴木 正義
その廃棄材料がどのくらいあったか
金額はメモしているのですか?
そうですね、
前回の面談で話した感じだと廃棄分は記録しているとのことだったので、
社長に確認すれば廃棄分の金額も出してくれると思います。
青木 さおり
青木 さおり
鈴木 正義
鈴木 正義
そうしたら、その廃棄分を特別損失に
持って行った方がいいと思いますよ。
その方が会社の数字を見る上で、
決算書の経常利益が正しく反映されます。
そうですね!
これから事業拡大のために借入をするかもしれませんし、
特別損失に持って行く方向で進めます!
青木 さおり
青木 さおり
佐藤 基頌
佐藤 基頌
私の担当しているお客さんも飲食店が数件あるので、
廃棄分があるかどうか確認してみます。
棚橋 泰之
棚橋 泰之
そういえば、
複数店舗持ちたいって言ってましたけど、
経営計画は立ててるんですか?
社長の頭の中には構想があるみたいですけど、
きちんと計画という形にはなってないと思います。
青木 さおり
青木 さおり
棚橋 泰之
棚橋 泰之
もし社長がしっかりと経営計画を立てたいなら、
是非僕に計画づくりのサポートをさせてください!
事業を大きくするなら、資金繰りも重要ですし
経営計画を立てた方が借入もしやすくなるし
絶対いいです!
おぉ…っ
さすが中小企業をサポートしたい男!
熱量がすごい!!
棚橋くんの熱意、社長にも伝えてみます!
青木 さおり
青木 さおり
棚橋 泰之
棚橋 泰之
数字の見える化は、本当に大事なんです!!
このくらい売上があったらいくら利益出て~
いくら給料とれて~、でもこの売上を上げるには
人をいつ増やさなければなど、
経営計画を立てることで色んなことが
見えてくるんです!
あ~僕もワクワクしてきた!
鈴木 正義
鈴木 正義
そうですね、会計事務所といっても
税金を計算するだけが私たちの仕事じゃない…。
社長が安心して、なおかつ夢をもって
経営出来るように、
「未来に向かって」数字をまとめるのが
私たちの仕事です。
御意です!!
青木 さおり
青木 さおり
鈴木 正義
鈴木 正義
ちなみに私は家庭内の5ヶ年計画により
お小遣いを減らされました。
…。          
青木 さおり
青木 さおり

【適格請求書等保存方式】適格請求書って何?いつから始まる?【インボイス制度】

みなさまこんにちは。税理士法人ウィズです!

今回は、令和5年10月に開始が迫っている「インボイス制度」について改めてご紹介していきます!

免税事業者の方や免税事業者と取引がある方、何もしないままでいると損をしてしまう可能性があります。

令和5年度税制改正大綱により見直された点も解説していきますので、後悔しないように今のうちに理解を深めておきましょう!

1.インボイス(適格請求書)とは?

皆様も「インボイス」という名前を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

「インボイス」とは、「売り手が買い手に対し、適用した税率や消費税の額を伝えるための手段」であり、一定の事項が記載された請求書や納品書、その他これらに類するものをいいます。

※ 請求書や納品書、領収書、レシート等、その書類の名称は問いません。

2.制度の主なメリット・デメリット

令和5年10月1日から、買い手側の消費税の仕入税額控除の方式として導入される制度です。

消費税の仕入税額控除の要件として、「インボイス発行事業者」(適格請求書発行事業者)が交付する「インボイス」(適格請求書)等の保存が必要となります。

免税事業者や消費者など、課税事業者ではない方はインボイス発行事業者へ事業者登録をすることが出来ません。そのため、免税事業者等からの課税仕入れは仕入税額控除の対象とならなくなってしまいます。

現行制度である「区分記載請求書等保存方式(令和5年9月30日まで)」との違いは、この点が大きいでしょう。

※ただし、インボイス制度の開始後6年間は仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。

なお、この経過措置の適用を受けるためには、区分記載請求書等と同様の記載事項が記載された請求書等の保存が要件となります。

出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0022009-090.pdf#page=43

3.適格請求書を発行するには?

適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られます。

ではどのようにすれば「適格請求書発行事業者」になれるのでしょうか。

適格請求書発行事業者となるためには、税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」 を提出し、登録を受ける必要があります。なお、課税事業者でなければ登録を受けることはできません。

※適格請求書発行事業者は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下となった場合であっても登録を取り消さない限り、免税事業者にはならず、消費税及び地方消費税の申告・納税義務が生じますのでご注意ください。

出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/300416.pdf

4.免税事業者はどうすれば良い?

免税事業者が適格請求書を発行するには、「適格請求書発行事業者の登録申請書」に加えて「消費税課税事業者選択届」を提出して課税事業者になることが求められます。※令和11年9月30日の属する課税期間までは、「消費税課税事業者選択届」の提出は不要

制度開始の令和5年10月1日に登録する場合の申請書提出期限は原則として令和5年3月31日です。
(困難な事情を記載したものは9/30まで受付)

令和5年度税制改正大綱により、困難な事情の記載が無いものも容認されることとなりました!

5.簡易課税制度について

簡易課税制度とは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の中小事業者の納税事務負担に配慮するための制度です。

課税仕入が少ない事業や、経理処理が煩雑になるのは避けたいという方は適用をご検討ください!

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm

※令和5年度税制改正大綱により、免税事業者からインボイス発行事業者になった場合の税負担・事務負担を軽減するため、売上税額の2割を納税額とすることができる制度が創設されます!

この制度を適用することで簡易課税よりもさらに税負担を軽減できる可能性があります。事前の届出も不要で申告時に適用するかどうかの選択が可能ですので、対象の方はぜひご検討ください!

出典:財務省
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/invoice/index.html

6.適格請求書発行事業者の義務等について

適格請求書発行事業者には、適格請求書を交付することが困難な一定の場合を除き、取引の相手方(課税事業者に限ります)の求めに応じて、適格請求書を交付する義務及び交付した適格請求書の写しを保存する義務が課されます。

※不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等については、記載事項を簡易なものとした「適格簡易請求書(簡易インボイス)」を交付することができます。

出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/300416.pdf

7.適格請求書及び適格簡易請求書の記載事項

適格請求書発行事業者は、以下の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類する書類を交付しなければなりません。赤文字下線の項目が、現行の区分記載請求書の記載事項に追加される事項です。

出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0022009-090.pdf#page=16

8.適格請求書の保存義務が免除になるもの

下記に記載するものは、適格請求書の保存義務が免除されるものとなります。

・災害等のやむを得ない事情により、保存することができなかったことが証明できる場合

・次の取引については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる、インボイスの保存を要しない取引となっています。

①公共交通機関特例の対象として適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送

②適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(①に該当するものを除きます。)

③古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸 資産に該当するものに限ります。)の購入

※ 相手方が適格請求書発行事業者である場合は、適格請求書の交付を受け、それを保存 する必要があります。

④質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該 当するものに限ります。)の取得

※相手方が適格請求書発行事業者である場合は、適格請求書の交付を受け、それを保存する必要があります。

⑤宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入

※相手方が適格請求書発行事業者である場合は、適格請求書の交付を受け、それを保存する必要があります。

⑥適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品(購入者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入

※相手方が適格請求書発行事業者である場合は、適格請求書の交付を受け、それを保存する必要があります。

⑦適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等 

⑧適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

⑨従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)


最後までご覧いただきありがとうございました!

ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください!

インボイス制度に関する記事は第2回目も予定しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

※当ブログは国税庁及び財務省等から発信される情報をもとに作成しておりますが、必ずしも節税を保証するものではありません。

【スタッフ紹介】とあるチーム会議にてpart1

おはようございます。
チーム会議を始めます!
村場 晋
村場 晋
金田 伸
金田 伸
よろしくお願いします!
今日は私が担当している
㈱A建設の決算前検討をお願いします!
はーい、
皆で検討していきましょう。
森下 久美
森下 久美
金田 伸
金田 伸
㈱A建設は都内にある建設業者さんです。
取引先はハウスメーカーです。
社長と相談し、取引先の要望もあったので
インボイス制度は早々に対応しました。
しかし、外注先が個人事業の一人親方で
まだ インボイスの登録をしていないので、
懸念点は残ります。
10月1日に間に合うように
3月末までには登録するんじゃない?
まだ少し時間があるし。
森下 久美
森下 久美
金田 伸
金田 伸
うーん、それもあやしいですねぇ。
資料では売上1億くらい、
原価は7,500万くらいですが、
このうち一人親方の割合・人数は
どのくらいですか?
栗田 奈美
栗田 奈美
金田 伸
金田 伸
原価の約3割の2,400万くらいで
4名の一人親方と仕事をしてますね。
1人当たりの平均は約600万円で、
皆さん免税事業者ですね。
消費税の額もそこそこになるので
インボイスに登録するかどうか、
社長も返答を待ってるみたいです。
免税事業者は判断が難しいから、
一人親方さん向けに、インボイスの説明会を
するのなんてどうでしょう?
森下 久美
森下 久美
金田 伸
金田 伸
それはいい案ですね!
一人親方もどうしていいか、分からず
に悩んでいるかもしれないし。
この後早速社長に提案・相談してみます。
建設業と言えば、コロナで原材料が上がって
大変だと思いますが、社長から相談とか
ありましたか?
釰田 拓郎
釰田 拓郎
確かに昨年の数字と比べると、
原価率が上がって粗利率が下がっているね。
本来はもっと利益が出ていたから、
社長も悩んでいるんじゃない?
村場 晋
村場 晋
金田 伸
金田 伸
そうなんです。
どうにかしたいとおっしゃってました。
仕入先も簡単に変えられないし。
何かいい方法ありませんか?
みなさんの知恵を貸してください!
経費を見直してみるのはどうでしょうか?
例えば、交際費が 300 万くらいになっていますけど、
もう少し減らす提案をしてみては?
栗田 奈美
栗田 奈美
金田 伸
金田 伸
一回コロナで減った交際費がまた増え始めてますね。
業界的に多いので、必要経費かと
思ってたけど、社長に現状を聞いてみます!
ただ、交際費を使って売上が維持出来ていたり、
仕入単価を抑えられていることもあるので、
そこは気を付けた方がいいですね。
村場 晋
村場 晋
ちょっと!
この採用教育費は何!?
年間100万近くかかってるじゃない!
森下 久美
森下 久美
金田 伸
金田 伸
!!
外注じゃなくて社員として若い子を雇入れしたいと。
社長の熱意もあったので、致し方ないコストです。
ずっとかかっているということは採用がうまく
いってないのかな?例えば一旦ハローワークに
してみるとか、一時的にコストを抑える方法もありますよ。
村場 晋
村場 晋
金田 伸
金田 伸
確かに!社長の熱意に押されて
しまいましたけど、方法はまだまだありますね。
次回の訪問時、もう一度社長にお話しを伺ってみます。
利益を残したい社長にとっては
こういった提案はやはり大事ですね!
勉強になります!
釰田 拓郎
釰田 拓郎
じゃあ次の会社も見ていきましょう。
次は・・・
村場 晋
村場 晋

チーム会議、決算前検討会はまだまだ続く・・・

【2社の申告で節税⁉】グループ通算制度のメリット・デメリット・注意点とは?

みなさまこんにちは。税理士法人ウィズです!

今回は、グループ通算制度についてです。

令和2年度の税制改正において連結納税制度が見直され、令和4年4月1日以後、最初に開始する事業年度から「グループ通算制度」へ移行することとなりました!(令和2年法律第8号)

事務負担の軽減や、節税に繋がる面などもあり、役員や経理担当者の方はしっかりと把握しておきたい内容になっています。

今回は、そんなグループ通算制度のポイントや、連結納税制度との違いを解説していきます。

それでは詳しく見ていきましょう!

1.グループ通算制度とは??

2022年3月に廃止された制度に、『連結納税制度』という制度がありました。これは法人税において、企業グループ全体を一つの納税者として捉え、親法人が申告・納税を行うというものです。
損益通算などメリットも多くありましたが、税金計算の煩雑さ、修正・更正に時間がかかる等の問題点が指摘されていました。

それらを踏まえ、令和2年度税制改正において『グループ通算制度』が創設されました。
グループ通算制度とは、完全支配関係にある企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税の計算及び申告を行い、その中で、損益通算等の調整を行う制度です。後発的に修正・更正が生じた場合には、原則として他の法人の税額計算に反映させない(遮断する)仕組みとされています。

また、グループ通算制度の開始・加入時の時価評価課税及び欠損金の持ち込み等について組織再編税制と整合性の取れた制度とされています。
制度が移行される上で重要なことは、単体申告方式へ移行することです。連結納税制度では親会社が連結申告・納税を行っていましたが、各法人が個別に申告・納税を行うこととなります。

2.制度の主なメリット・デメリット

グループ通算制度を適用する場合の主なメリット、デメリットをご紹介します。
連結納税制度から引き続き利用出来るものもありますので、詳しく見ていきましょう!

メリット① 損益通算による法人税の節税効果

グループ内で赤字の法人と黒字の法人がある場合、所得を相殺することができます。
グループ内の利益がでている会社が単体で申告を行うよりも、法人税額を抑えられるかもしれません。 計算方法は、下記の図の通りです。

(資料:財務省出典)

メリット② 事務負担の軽減

連結納税制度では、親法人が企業グループ全体を一つの納税義務者として申告・納税していました。そのため、グループ内の一つの会社で修正があった場合、企業グループ全体を修正する必要がありました。
グループ通算制度においては各法人が個別に申告・納税を行うため、修正があっても該当の法人のみ修正対応すれば良いこととなります。事務負担の軽減・時間の短縮が期待できますね。

メリット③ 研究開発税制・外国税額控除の適用

研究開発税制及び外国税額控除については、連結納税から引き続き企業グループ全体で計算することになります。
そのため、単体の申告では得られなかった税額控除が使用できる可能性があります。

デメリット 中小法人の特例の適用について

中小企業には法人税の軽減税率や、交際費の損金不算入制度に関する特例などがあります。
しかし、企業グループ内に中小法人に該当しない法人が含まれている場合、企業グループ内のすべての法人に対して中小法人の特例が適用されなくなってしまいます。

  • 法人税の軽減税率適用金額の減少
    中小法人の場合、所得のうち年間800万円以下の部分は法人税率が15%に減額されます。
    しかし、グループ通算制度を適用すると、グループ全体で800万円以下の部分が法人税率15%になります。単体申告した場合より納税額が増加する可能性もありますので、注意が必要です。
  • 交際費の損金不算入制度
    中小法人の場合、交際費は各法人年間800万円まで損金算入が認められています。
    しかし、グループ通算制度を適用すると、グループ全体で800万円まで損金算入となり、影響を受ける可能性があります。

※注意 貸倒引当金について

グループ通算税制の導入と同時に、その他制度の改正も行われています。
これまでは貸倒引当金の対象になる金銭債権から、「連結完全支配関係がある連結法人に対する金銭債権」が除外の対象でした。
しかし、改正後はグループ通算制度の利用に関わらず、完全支配関係がある他の法人に対して有する金銭債権は除外されることとなります。

3.適用法人について

通算制度の適用を受けようとする場合には、親法人となる内国法人及びその内国法人との間にその内国法人による完全支配関係がある他の内国法人である子法人の全てが、国税庁長官の承認を受けなければならないこととされています。
対象とならない親法人・子法人も存在しますので注意が必要です!

※対象とならない適用法人

親法人
 ①清算中の法人
 ②普通法人(外国法人を除く。)又は協同組合等との間にその普通法人又は共同組合等による完全支配関係がある法人
 ③通算承認の取りやめの承認を受けた法人で、その承認日の属する事業年度終了後5年を経過する日 の属する事業年度終了の日を経過していない法人
 ④青色申告の承認の取消通知を受けた法人でその通知後5年を経過する日の属する事業年度終了の日を経過していない法人
 ⑤青色申告の取りやめの届出書を提出した法人でその提出後1年を経過する日の属する事業年度終了の日を経過していない法人
 ⑥投資法人、特定目的会社
 ⑦その他一定の法人(普通法人以外の法人、破産手続開始の決定を受けた法人等)

子法人
 ①通算承認の取りやめの承認を受けた法人で、その承認日の属する事業年度終了後5年を経過する日の属する事業年度終了の日を経過していない法人
 ②青色申告の承認の取消通知を受けた法人でその通知後5年を経過する日の属する事業年度終了の日を経過していない法人
 ③青色申告の取りやめの届出書を提出した法人でその提出後1年を経過する日の属する事業年度終了の日を経過していない法人
 ④投資法人、特定目的会社
 ⑤その他一定の法人(普通法人以外の法人、破産手続開始の決定を受けた法人等)

※連結法人は、特段の手続きなく令和4年4月1日以後最初に開始する事業年度からグループ通算制度を適用することになります。

4.グループ通算制度の申請は??

親法人及び子法人が、通算承認を受けようとする場合、「その親法人がグループ通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度開始の日の3月前の日まで」に、親法人及び子法人の全ての連名で、承認申請書をその親法人の納税地の所轄税務署長を経由で、国税庁長官に提出する必要があります。

5.申請の承認は??

グループ通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度開始の日の前日までに承認又は却下の処分がなかったときは、申請を行った全ての法人について、事業年度開始の日においてその承認があったものとみなされ、同日からその効力が生じます。

6.申告について

グループ通算制度の適用法人は、通算親法人だけでなく通算子法人も法人税及び地方法人税の申告をする必要があり、電子申告義務化の対象となります。
※個別帰属額の届出は不要になります。

7.書面での申告は無効

通算法人が、e-taxではなく書面により申告書を提出した場合、その申告書は無効なものとして取り扱われることとなります。

※e-taxによる申告が法定申告期限を超えてしまった場合には、無申告加算税の賦課対象になってしまいますのでご注意ください。

8.連結納税制度を利用している方へ

連結納税制度を利用している法人は、自動的にグループ通算制度へ移行することとなります。
グループ通算制度へ移行しない場合、令和4年4月1日以後最初に開始する事業年度開始の日の前日までに、親法人が『グループ通算制度へ移行しない旨の届出書』を所轄税務署長へ提出する必要があります。
下記の国税庁のHPよりご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/renketsu/annai/09.htm

9.グループ通算制度の適用の取りやめ

グループ通算制度の適用の取りやめの申請は、やむを得ない事情があるときに、国税庁長官の承認を受けて取りやめることができることとされています。
通算法人の全てが連名で行う必要があるため、個々の通算法人がその申請を行うことはできません。通算親法人に対してこの申請が承認された場合には、その承認を受けた日の属する通算親法人の事業年度終了の時において、通算法人の全てが取りやめることとなります。

参考:令和2年9月30日付課法2-33ほか2課共同「グループ通算制度に関する取扱通達の制定について」(法令解釈通達)の趣旨説明《主要制定項目以外の項目》
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/200930/index_2.htm

国税庁のHPにてQ&Aも公開されておりますので、併せてご確認ください!
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/group_faq/index.htm


最後までご覧いただきありがとうございました!

その他の税制改正等についても記事を作成しておりますので、ぜひご覧ください!

※当ブログは国税庁から発信される情報をもとに作成しておりますが、必ずしも節税を保証するものではありません。

【税制改正2022】中小企業における賃上げ促進税制とは?

こんにちは税理士法人ウィズです。
今回は2022年の税制改正の中で給与・賃金に関する税制の「賃上げ促進税制」についてです。

税制改正で要件が変わり、適用を受けやすくなりました。
賃上げ促進税制の中でも、中小企業を対象にした内容をお話ししていきます!

従業員の給料を上げたいけど、、、そんな風に考える経営者も多いかと思います。
今回ご紹介する賃上げ促進税制を考える要素の一つとして、取り入れてみてはいかがでしょうか。

1.賃上げ促進税制とは?

まずはどういった税制なのか、端的に言うと、
「従業員の給料が前年度より上がれば法人税を減らすことができる!」
という内容です。

社員の昇給等で前年度の決算より給与賃金の増加があった場合には税制を適用して、
給与賃金の増加額の一部を法人税額から税額控除することになります。

税額控除することが、ある意味で、賃上げの費用の一部を負担する制度と言えるでしょう。
当然のことながら適用要件があり、その要件を満たすことで控除額が決まります。

2.適用要件は?

詳しい要件と控除について確認していきましょう!

まず大前提として雇用者の給与賃金が対象となります。
ですので、役員や経営者、また経営者・役員の親族の方の報酬等については対象とならないのでご注意ください。

2022年の税制改正で最大控除率が25%から40%に引き上げられました!
満たす要件によっては基本の控除額の計算(A)に上乗せされます!
(※控除額の上限は法人税額の20%までです)

A 通常要件

<要件>
雇用者給与等の支給額が前年度から1.5%以上増加

<税額控除額>
雇用者給与等支給額の対前年度増加額×15%

B 上乗せ要件

<要件>
雇用者給与等の支給額が前年度から2.5%以上増加

<税額控除額>
雇用者給与等支給額の対前年度増加額×30%(=A+上乗せ15%)

C 上乗せ要件

<要件>
教育訓練費が前年度から10%以上増加

<税額控除額>
雇用者給与等支給額の対前年度増加額×40%(=A+上乗せ15%+上乗せ10%)
以上のように満たす要件によって控除額が変わってきます。
給与賃金の増加のあった多くの企業ではAもしくはBを満たしている可能性があります。

3.ケース別の具体例

ここから具体的な数字を見ながら解説していきます。 
株式会社Wの前期の給与支払額は20,000,000円でした。

さて、給与の増加によっていくらの税額控除が受けられるのでしょうか。
各ケースで見ていきましょう。

《ケース①:15%控除》

今期の給与支払額は1.5%増え、20,300,000円でした。
今期の法人税額が1,000,000円となりました。

昨年から増加した給与支払額は300,000円でしたので、
A雇用者給与等支給額の対前年度増加額×15%に当てはめて、

300,000円×15%=45,000円

税額控除を受けられるのは、45,000円となります。
従って、法人税額は955,000円になります。

《ケース②:30%控除》

今期の給与支払額は2.5%増え、20,500,000円でした。
今期の法人税額が1,000,000円となりました。

昨年から増加した給与支払額は500,000円でしたので、
B雇用者給与等支給額の対前年度増加額×30%に当てはめて、

500,000円×30%=150,000円

税額控除を受けられるのは、150,000円となります。
従って、法人税額は850,000円になります。

《ケース③:25%控除》

今期の給与支払額は1.5%増え、20,300,000円でした。
訓練教育費も前期より10%以上増加しています。
今期の法人税額が1,000,000円となりました。

昨年から増加した給与支払額は300,000円で、
教育訓練費も10%増加のため、15%+上乗せ10%=25%で計算します。

雇用者給与等支給額の対前年度増加額×25%
300,000円×25%=75,000円

税額控除を受けられるのは、75,000円となります。
従って、法人税額は925,000円になります。

《ケース④:40%控除》

今期の給与支払額は2.5%増え、20,500,000円でした。
訓練教育費も前期より10%以上増加しています。
今期の法人税額が1,000,000円となりました。

昨年から増加した給与支払額は500,000円で、
教育訓練費も10%増加のため、
C雇用者給与等支給額の対前年度増加額×40%を当てはめ、

500,000円×40%=200,000円

税額控除を受けられるのは、200,000円となります。
従って、法人税額は800,000円になります。

以上4つのケースでご説明しました。
今回はすべて法人税額1,000,000円で計算したので、控除額の上限は法人税額の20%で最大200,000円でした。
ケース④では最大の控除を受けられる計算になっています。

下記は賃上げ促進税制を適用した場合のイメージ図です。

4.適用を受けるためには?

賃上げ促進税制の適用を受けるためには、法人税の申告の際に一緒に所定の書類を作成し提出します。
こちらは申告を依頼している税理士にご相談の上、適用をお受けください。


賃上げ促進税制は、①従業員の給料が前年度より上がれば法人税を減らすことができ、
その金額は②控除率は最大40%で法人税額の20%までになります。

ブログ執筆者:金田 伸

2016年入社。一般企業を経験の後、税理士法人ウィズに入社。現在は税務会計を中心にクラウド化、電子化や経理効率化の相談を含め、中小企業の経営支援を行っている。